不定愁訴
漠然とした体調不良…不定愁訴とは
体調不良の自覚症状はあるけれど、医療機関を受診してもはっきりとした原因がわからない。
「不定愁訴」は、特定の病気を指す言葉ではありません。
むしろ医療機関で十分な診察や検査を受けても、本人が訴えるような身体症状や疾患が見つからず、明確な診断がつかないのが「不定愁訴」と呼ばれている状態です。
具体的な身体症状は?
不定愁訴と呼ばれる体調不良は多岐にわたります。
全身症状
倦怠感、疲れやすい、突然くる「のぼせ」や「ほてり」、動悸、発汗 など
感覚器の症状
視力低下、めまい、耳鳴り、嗅覚や味覚の異常 など
消化器系
食欲不振、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢 など
運動器
首や肩のコリ、手足のしびれ、手足の冷え など
泌尿器・生殖器
頻尿、残尿感、血尿か、月経異常、性欲低下 など
その他
頭痛、頭が重い、めまい、息切れ、イライラ、不安感、不眠、関節痛 のどの異物感など

また、1日の内に何度も症状が変化するなど、体調にも波があります。
不定愁訴の症状は当人の主観的な訴えが多く、周囲の充分な理解が求められます。
逆に言えば周囲に理解されにくい症状でもあります。
不定愁訴の原因
不定愁訴は、次のようなことが原因として考えられます。
ストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れます。
そして自律神経を調節する視床下部と、ホルモンバランスを調節する脳下垂体は、非常に近い場所にあります。
そのため、自律神経が乱れるとホルモンバランスも乱れてしまい、倦怠感やめまいなどの不定愁訴の症状が現れる場合があります。
女性に多い更年期症状は性ホルモンのエストロゲンが急激に上昇するため、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
のぼせ・ほてり・イライラ・うつ症状などの不調を感じる人は少なくありません。
日常生活が困難になるほど症状が重いものを「更年期障害」といいます。
首から肩にかけて、特に首に関わる鈍い痛みや違和感、圧迫感、不快感を指します。
ストレスなども関係していますが、首のコリが原因で頭痛をはじめ、動悸やイライラ、全身倦怠感などの症状が現れます。
「冷えは万病の元」というというように、体の冷えにより頭痛や肩こり、胃腸障害など様々な不調が出ます。
アルコールやタバコの嗜好品、商品添加物や脂肪・糖分の多い食生活や、睡眠時間が短い、運動不足など。
若いうちはあまり気にしなくても問題ない事も、不定愁訴を感じる年齢に達すると途端に発症する要因となります。
※ 不定愁訴と症状が似ている「甲状腺機能障害」
甲状腺は体の新陳代謝の働きをコントロールする役割を担っています。
体の新陳代謝を盛んにする甲状腺ホルモンの機能が亢進すると、倦怠感・動悸・イライラなどの症状が現れます。
逆に甲状腺ホルモンの機能が低下すると、不安感・焦燥感・情緒不安定などの症状が現れます。
これらの症状は不定愁訴の症状と似ており、甲状腺機能障害と解らないまま、誤った診断も受ける事があるので注意が必要です。
出典
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
日本医協学院発行
健康管理士向け教本より