大人の喘息
喘息は大人になってからでも発症する可能性があり、特に40歳をこえると一気に発症しやすいと言われています。
また風邪と判断し、本人が気づかない場合もあります。
風邪は治っても咳が続く場合は注意が必要です。
喘息の原因は
呼吸をするたびに、「喘鳴(ぜいめい)」というゼイゼイ、ヒューヒューといった音や、呼吸困難が起こる事が大きな特徴です。
なぜこのようになるかというと、気管支が何らかの原因によって発症し、空気の通り道である気道が狭くなるからです。
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もう少し詳しく説明をすると、度重なる炎症によって刺激された気管支粘膜からは、大量の粘膜が分泌されます。
その結果、気管支の壁が厚くなり気道が狭くなってしまいます。
そうして、タンが出やすくなったり、咳が止まらなくなったり、呼吸が苦しくなったりといった、喘息の症状が発症してしまうのです。
なぜ、気管支は炎症するかというと、諸説ありますが、大きく分けると「アレルギー型」と「非アレルギー型」があります。
実はこれが、小児喘息と大人の喘息の大きな違いです。
大人喘息の原因は
小児喘息はダニ、花粉、かび、ペットの毛、タバコ、食物アレルギーといったアレルゲンが原因と分かっている事が多いです。
しかし、大人の喘息の原因は、アレルゲンが原因の場合もありますが、ストレスや過労、妊娠や出産がきっかけとなる「非アレルギー型」の方が多いです。
喘息の治療とは
喘息の治療では、粉末状にした薬剤を一気に吸い込むタイプの吸入ステロイド薬を使うのが一般的です。
ステロイド薬というと効果が高い反面、高い副作用を伴う薬というイメージがありますが、吸入ステロイド薬は副作用の心配はほとんどないと言われています。
理由として、粉末状のステロイドは患部である気道だけ作用します。
飲み薬よりもステロイドの量が少なく、内臓への影響が少ないのです。
もちろん治療効果も高く、80%以上の患者が症状を緩和するという良薬です。
しかも長期使用をしても、効果が落ちるといった問題もないで、長期の服用にも適した薬です。
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このように、喘息の治療は薬物治療が中心となりますが、日常生活に支障がないくらいに症状を緩和する事ができます。
ですが、現在の医学をもってしても、喘息を根本から治す方法は確立していません。
大人の喘息セルフチェック
● 家族で喘息を患っている人がいる
● 花粉症である
● アトピー性皮膚炎である
● 食物アレルギーである
● 天候が悪い、または気圧変化が大きいときに咳が出やすい
● 強いストレスを感じると咳が止まらなくなる
● 咳止めの薬が効かない
● 痰がからむ事が多い
● 風邪が治っても咳は止まらない
10個の項目のうち、いくつ当てはまると大人の喘息という訳ではなく、大人の喘息を発症しやすい人の特徴です。
子供の頃に喘息にかかっており、何かしらのアレルギーがある方は注意が必要です。
適切な治療、または予防すれば、よい方向に動く
喘息は調子が悪くても治療をすれば改善し、油断をすれば悪化します。
また、自分がいくら気をつけていても、天候の変化やハウスダスト、花粉などの環境によっては避けられないものもあります。
何より、早め早めの予防に取り組む事がとても大切です。
ストレスをためず、十分な睡眠をとる事が大切です。
ストレスがかかると自律神経が乱れ、体の調整機能のバランスが崩れるので、喘息が悪化しやすくなります。
また、睡眠不足により疲労がたまると、風邪をひきやすくなったり、アレルゲンに対する抵抗力が弱まります。
ストレスを上手に発散し、安眠を心がけましょう。
また喫煙は厳禁です。炎症を悪化する上に治療薬の効きも悪くなります。
適度な運動は体質改善にもなり、発作の予防になります。
適度な運動は、血行改善・心肺機能の向上になり、基礎体力がアップします。
そうすると免疫機能も上がり、病気予防になるとともに、発作のおきにくい体質になります。
ただし、冬場の冷たい空気などは、発作が出やすいので注意が必要です。
喘息の原因がアレルギーでなくとも、埃やゴミが多い部屋は身体によくありません。
とくにカーペットやふとんにはダニの糞や死がい、ペットの毛などが付着しやすいです。
こまめに掃除と換気を行い、室内を清潔に保ちましょう。
出典
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
日本医協学院発行
健康管理士向け教本より