アレルギーの根本治療「アレルゲン免疫療法」とは
アレルゲン免疫療法とは「減感作療法」とも呼ばれ、アレルゲンを少しずつ体内に取り入れていく事で、体をアレルゲンに慣らして完治を目指す治療法です。
体内に取り入れるアレルゲンの濃度を少しずつ上げて行くために、治療は3〜5年という長期間に渡りますが、現段階に置いてアレルギーを治す可能性のある唯一の方法と考えられています。
そんなアレルゲン免疫療法には、注射による「皮下免疫療法」、舌の裏に薬を垂らす「舌下免疫療法」の2種類があります。
アレルギー反応のおき方と、アレルゲン免疫療法のメカニズム
❷ Th1細胞(アレルギー反応をおさえる細胞)が増加する。
❸ Th2細胞(アレルギー反応を促進する細胞)の増加をおさえる。
❹ IgEとアレルゲンの結合を妨げるIgGなど(抗体)が増加する。
皮下免疫療法は、複数のアレルゲン治療を同時に行えるのが最大のメリットです。
デメリットとしては、通院の手間がかかる事です。
皮下免疫療法を開始して5ヶ月間位は、週に1回の通院をして注射を受ける事になります。
しかし、アレルゲンの目標投与量に達したあとは、2週間に1回、3週間に1回と徐々に伸び、最終的には2ヶ月に1回程度になります。
また、症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげてアレルギー治療薬の減量が期待できます。
費用は、保険適用の30%負担として、1回の注射で600円程度です。
舌下免疫療法の初回は医療機関で行いますが、 基本的には自宅で投薬する治療です。
舌の裏に薬を垂らす投薬は毎日自分で行い、月に1〜2回の通院は必要ですが、皮下免疫療法よりも時間の拘束が緩いことが最大のメリットです。
費用は診療と処方箋を合わせて、保険適用の30%負担で年間3万円前後です。
しかし、現在ではダニアレルギー性鼻炎とスギ花粉症にしか保険適用されず、どちらかに対する治療しかできません。
また、皮下免疫療法は5歳以上に対し、舌下免疫療法は12歳以上という規定があります。
◆◆◆
日本でのアレルゲン免疫療法は研究段階です。
保険はスギ花粉症、ダニによるアレルギー性鼻炎、気管支喘息など一部のアレルギー症状にしか適用できず、蜂毒アレルギー治療は残念ながら保険が適用されない自由診療です。
しかし、2014年10月からスギ花粉症、2015年12月にダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法が保険適応になった経緯もあり、今後はさらに保険適用範囲が拡大していくでしょう。
出典
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
日本医協学院発行
健康管理士向け教本より